車を所有していると「急にタイヤがパンクして交換しなければならない」「ノーマルタイヤからスタッドレスタイヤに急ぎ交換したい」などタイヤ交換に急を要する場面もあると思います。
また、「タイヤ交換の費用を抑えたいから」自分でタイヤ交換をしたいと考える方もいるでしょう。
ここでは、タイヤ交換の方法や注意点なども併せて解説します。
タイヤ交換は自分しない方がいい?
様々な理由からタイヤ交換をしたいと考えても、タイヤは車の中でも重要な部分であるため、自分でしない方がいいのではないかと考える方もいると思います。
確かにタイヤ交換は自分で行うこともできますが、道具を揃える手間や専門知識が必要であり、作業を行うにあたってリスクも伴います。
その点を考えると、プロに任せる方が良いでしょう。
しかしながら、緊急を要する場面に遭遇することも考えられますので、やり方を覚えておいて損はないでしょう。
タイヤ交換を自分でするメリット・デメリットに関しては以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひご参考ください。
タイヤ交換をする際の準備物(道具)
自分でタイヤ交換をするにあたって必要な道具は、以下の通りです。
道具 | 詳細 |
---|---|
ジャッキ | 車体を持ち上げる道具 |
レンチ | ホイールを固定するナットを取り外す道具 |
トルクレンチ | 適切な力でトルクを締める道具 |
輪止め | 車が動かないようにする道具 |
その他 | 保護アイテムなどスムーズに作業するための道具 |
道具によっては複数の種類があるため、自分が作業しやすいものを選ぶことが大切です。
以下より、各道具の詳細を解説します。
ジャッキ
タイヤ交換の際に欠かせないジャッキは、車体を持ち上げるためのアイテムです。
一口にジャッキといっても様々なタイプがありますが、代表的なものとしては「パンタグラフジャッキ」や「油圧式ジャッキ(フロアジャッキ)」があります。
それぞれ機能性や扱いの難しさが異なるため、以下よりご紹介する具体的な特徴について知っておきましょう。
パンタグラフジャッキ
パンタグラフジャッキは比較的軽量で小型であり、国産車の車載ジャッキとしての採用例が多いタイプです。
アームを広げると電車のパンタグラフのような菱形になるのでこのように呼ばれています。
中央になるボルトにクランク棒を取り付け、手動でボルトを回してジャッキアップするため、ある程度の力が必要です。
接地面が小さいので安定性に若干劣り、横向きの力がかかると簡単に倒れてしまうので注意しましょう。
油圧式ジャッキ(フロアジャッキ)
油圧で車体を持ち上げるタイプで、パンタグラフジャックのようにボルトを回すのではなくレバーで簡単に車体が持ち上がるため、力の弱い方でも使いやすいのが特徴です。
設置面積がパンタグラフジャックよりも広く、安定性にも優れています。
レンチ
ホイールを止めているナットを外すための道具です。
レンチにはいろいろな種類がありますが、一般的にタイヤ交換用として車載されているL字型レンチのほか十字型のクロスレンチ、電動のレンチなどもあります。
トルクレンチ
トルクレンチは、どの程度のトルクで締めているのかを計測し、適正なトルクでナットを締めるためのアイテムです。
タイヤ交換そのものはトルクレンチなしでも可能ですが、本締めにはトルクレンチを使用し、正しいトルクでナットを締めましょう。
タイヤのナットは、車種によってどの程度の力=トルクで締め付けるのかが決められているからです。
しっかりと締め付けていないと走行中に緩んで脱輪する危険があるほか、締め過ぎるとナットが損傷するおそれがあるため既定のトルクで締める必要があります。
輪止め
輪止めは、車が動かないようにするためのアイテムです。
タイヤ交換時には交換するタイヤの対角線上のタイヤに輪止めを設置して、作業中に車が動かないように固定します。
その他
作業時には、手を汚れや怪我から守るために、軍手やゴムグローブを着用しましょう。
また、外したナットをなくさないように、一箇所にまとめて置くためのマグネットボウルやトレーがあればより安心です。
セルフタイヤ交換に適した場所
自分で安全にタイヤ交換をするためには、場所選びも重要です。
タイヤ交換は平らで固い地面がある場所が適しており、コンクリートで舗装された駐車場やガレージ内などを選ぶと良いでしょう。
また、車の周囲に十分なスペースを確保できる程度の広さも必要です。
ただし、タイヤの交換場所としての条件が揃っていても、道路・洗車場・公園・店舗の駐車場などの公共の場所は避けましょう。
本来の用途とは違う使い方でスペースを占拠することは迷惑となるうえに、他の車にぶつかって傷を付けるリスクも伴います。
走行中のパンクでやむを得ず道路上でタイヤを交換する場合は、車の後方に三角停止板を置いて他の車に停車中であることを示しましょう。
タイヤ交換前の事前準備
エンジンを切り、輪止めを設置する
車はエンジンを切って、ギアを「P」に入れてサイドブレーキを作動させ、輪止めを設置します。
作業に必要なアイテムをそばに揃えておく
作業中にその場から離れると、子供やペットなどが近付いて車に触れるなど思わぬ事故が発生するケースもあります。
そのため、一旦作業を開始すると作業場から離れなくて済むよう、交換に必要なアイテムはすべて揃えてから作業に取りかかりましょう。
タイヤの確認
作業に着手する前に、タイヤに問題がないかどうかもチェックしましょう。
タイヤのチェックにおいて必要な項目としては、以下の3つがあります。
- 回転方法
- 表面の状態
- 空気圧
タイヤによっては特定の方向に回転させることで機能性を高めている製品もあるため、指定された回転方向となるように取り付ける必要があります。そのため、事前にタイヤのはめ込む向きについて確認しておきましょう。
また、保管しているタイヤへ交換する場合などは、紫外線や温度などの影響を受けて亀裂が入ったり変質したりしている可能性もあります。交換前には必ずタイヤの表面に問題がないか目視で確認しましょう。
表面の状態を確認したら、空気圧も合わせて確認します。
空気圧は適正値に対して高くても低くても性能が十分に発揮されないうえに、タイヤの摩耗が進みやすくなったりパンクのリスクが高まったりします。
あらかじめ空気圧を測定し、不足している場合は指定の数値になるまで充填しておきましょう。
タイヤを交換する方法(手順)
1.ナットを軽く緩める
ジャッキアップ前にナットをレンチで少しだけ緩めておきます。
ナットはある程度固く締まっているので、ここで軽く緩めておくとジャッキアップ後の作業が楽になります。
2.ジャッキアップポイントにジャッキを接続し、ジャッキアップする
ジャッキは、必ずジャッキアップポイントに接続します。
あらかじめ車の取扱説明書でジャッキアップポイントの場所を確認しておきましょう。
タイヤ交換時のジャッキアップは、それほど高くまで上げる必要はありません。タイヤが地面から少し浮き上がる程度で十分です。
3.タイヤを外す
ナットを緩め、古いタイヤを外します。
タイヤを外す時には、倒れたり落としたりしないように細心の注意を払って丁寧に扱いましょう。
4.新しいタイヤを装着し、仮締めする
新しいタイヤを取り付けます。このとき、回転の向きや内側用か外側用かなどを確認し、正しい位置に取り付けることが大切です。
取り付けの際はすべてのナットを手で軽くはめ込み、レンチを使って仮締めをします。
ナットを締める順番は対角線の順です。
例えば、ナットが5つのタイヤであれば「上→右下→左上→右上→左下」という順番になります。
締める際は一気に力を込めず、2~3回に分けてゆっくりと締めましょう。
5.トルクレンチで本締めする
4本ともタイヤを交換したら、ジャッキを下ろし、タイヤを地面に接地させてから最後にトルクレンチを使用して既定のトルクで本締めしましょう。
このときも対角線の順になるように締めていきます。
タイヤ交換後の確認
タイヤ交換を終えたら、タイヤが問題なく取り付けられているかを必ず確認しましょう。
まずは車の周囲に古いタイヤや道具などがないことを確認のうえ、車に乗って試運転します。
ハンドルを大きく左右に動かし、タイヤから異音がしないか注意して聞きましょう。
また、ある程度の広さがある場所で走行させて異常な振動がないか確認することも大切です。
タイヤの取り付けに加え、空気圧のチェックもおすすめします。
タイヤを交換すると空気圧のチェックランプが点灯する場合がありますが、対処法はケースによって変わります。
適切な数値まで空気充填すれば解決することもあれば、ランプを消すためにコードの入力が必要なこともあるため、自分で対処できる自信がない場合は業者へ相談しましょう。
自分でタイヤ交換する際の注意点・リスク
タイヤ交換は難易度が高い作業であるため、専門知識や実作業の経験がない方が挑戦すると失敗する可能性が高いです。
特に自分でタイヤ交換する際には、以下の点に注意しましょう。
作業中に怪我をする
タイヤ交換作業には、ジャッキアップも含まれます。
平らでない地面でタイヤ交換をしていたり、ジャッキアップポイントを間違えて接続したりすると、ジャッキが倒れたり外れたりするなどの事故が起こり、怪我をするリスクがあります。
また、ホイールに組付けたタイヤは意外と重く、軽自動車用の14インチのタイヤでも10kg越え、17インチになると22kg程度になります。
作業中に足の上に落ちると大怪我をする可能性や、運び方によっては腰痛の原因となることもあります。
その他にもレンチで手を傷つけるなど、さまざまな怪我のリスクがあり、作業には細心の注意を払う必要があります。
タイヤの回転方向を間違える
タイヤは回転方向が決まっています。
タイヤを誤った向きで取り付けてしまうと、タイヤの本来の性能が発揮できないばかりか、安全性が低下する可能性があります。
回転方向が決まっているタイヤには回転方向を示すマークがあるので、タイヤの回転方向を確認してから正しい向きに取り付けましょう。
無理にナットを回そうとして破損させた
ナットを緩めたり締め付けたりする際、力任せに無理に回そうとするとナットを破損させる可能性があります。
また、適切な工具を使用せずにナットを回そうとすると、ナットが歪んでしまったり、怪我をしたりする可能性も否定できません。
ナットを緩める、または締める際は、クロスレンチなど適切な工具を使用し、力を均等にかけるようにしましょう。
走行中に脱輪してしまう可能性がある
タイヤのナットを締め付ける際、締め付けが不十分だとナットが緩み、タイヤが外れる可能性があります。
走行中の脱輪は非常に危険です。
ハンドルがとられて車の制御ができなくなり重大な事故の恐れがあることに加え、外れたタイヤがほかの車や歩行者などにぶつかる危険性もあります。
逆に、ナットを締め付けすぎると、ナットやホイールに損傷を与えることがあります。
ナットを締める際は、トルクレンチを使用し、メーカーの推奨トルク値に従って締め付けることが重要です。
ナットの締め付けが弱い・締め付けすぎ
タイヤのナットを締め付ける際、締め付けが不十分だとナットが緩み、タイヤが外れる可能性があります。
逆に、ナットを締め付けすぎると、ナットやホイールに損傷を与えることがあります。
ナットを締める際は、トルクレンチを使用し、メーカーの推奨トルク値に従って締め付けることが重要です。
セルフではバランス調整が難しい
タイヤの交換時には、ホイールバランスを調整する必要があります。
タイヤやホイールは一見真円に見えますが、微妙に歪んでいます。
そのため、バランスが取れていない状態で走行すると重心が中央からずれ、走行安定性が低下するほかタイヤの偏摩耗、足回りのパーツの損傷などにつながる可能性があります。
ホイールバランス調整には、バランスを測定するホイールバランサーが必要です。
簡易的なものは数万円程度でありますが、簡易的なものはタイヤが回転している状態での確認ができません。
タイヤが回転している状態のバランサーは数十万円程度かかるため、個人で用意するのはあまり現実的ではありません。
安全なタイヤ交換をするならプロへの依頼がおすすめ
プロへの依頼をおすすめする理由
自動車整備士などのプロは、タイヤ交換に関する専門知識と豊富な経験を持っています。
タイヤ交換の手順や安全上の注意点を熟知していることに加え、プロならではの専用の工具やマシンを使用し、効率的かつ正確なタイヤ交換を実施してくれます。
そのためセルフでの交換よりもスピーディで手間がかかりません。
不確実な取り付けによる脱輪のリスクもないので、交換後も安心して車が使用でき、セルフ交換で発生するリスクも防げます。
プロへ依頼した場合の費用相場
プロへタイヤ交換を依頼した場合、費用相場は地域や店舗、またタイヤサイズなどによって異なります。
一般的にはタイヤ1本あたりの交換(組み替え作業:タイヤのゴム部分の取り外し・取り付け作業のこと)費用が1,500円程度から3,000円程度です。
ただし、20インチを超える大径タイヤや特殊なものは費用相場が高くなります。
また、ホイールバランスやアライメント調整などの追加作業が必要な場合は、それぞれ別途費用がかかる場合があります。
以下の記事では、より詳しくタイヤ交換の費用相場について解説しています。ぜひご参考ください。
タイヤ交換の依頼ができる場所
タイヤ交換の依頼ができる場所としては、以下3つの業者が代表的です。
- ディーラー
- タイヤ専門店
- ガソリンスタンド
サービスの質や保証の充実度を重視するならディーラー、選べるタイヤの充実度を重視するならタイヤ専門店となりますが、一方で、ディーラーやタイヤ専門店は交換費用が比較的高いというデメリットがあります。
ガソリンスタンドは店舗数が多く、営業時間も長いためいつでも気軽に利用できる点がメリットです。
また、費用もディーラーやタイヤ専門店より安い傾向にあります。
ただし店舗によっては有資格者の整備士が常駐していない場合もあるため、依頼先選びの際は情報をよく確認しておくと良いでしょう。
ENEOSウイングは全国300店舗以上展開!知識と技術を兼ね備えたプロが対応!
全国300店舗以上の店舗を展開するENEOSウイングでは、独自のタイヤ資格者制度を設けています。
独自資格「タイヤグランドマイスター」「タイヤマイスター1級」「タイヤマイスター2級」は、技術力はもちろん、接客力、タイヤに関する深い知識を持ったスタッフのみに贈られる資格です。
中でも最上位資格であるグランドマイスターはタイヤメーカーの承認を受けています。
このように、タイヤ交換を実施するスタッフの技術向上にも日々努めています。
各店舗にタイヤに精通したプロのスタッフが常駐しており、高い技術で安心・確実なタイヤ交換を実施いたします。
また、タイヤのお持ち込み交換にも対応しているほか、ECサイトなどで購入したタイヤを直接送っていただき、交換する直送もご利用いただけます。
まずはお近くのENEOSウイング店舗にご相談ください。
タイヤ交換のやり方に関するよくある質問
ホイールはそのままでタイヤ交換できますか?
ホイールはそのままでタイヤ交換することは可能です。
ホイールはそのままでタイヤ交換を行うことを「組み替え」と言いますが、組み替えはホイールとタイヤがセットになっている状態の交換(履き替え)よりも工賃が高くなります。
4本のタイヤ交換を行う時間はどれくらいですか?
タイヤや車によっても異なりますが、4本で30分~1時間程度が目安です。
なお、大径タイヤや扁平タイヤなど特殊なものはさらに時間がかかるケースもあります。
タイヤ交換の前後左右の見分け方は?
タイヤは回転方向が指定されているので、その方向に回転する向きに取り付ける必要があります。
タイヤの側面に内側(INSIDE)か外側(OUTSIDE)の記載があるタイヤは、それで左右を判断できます。
なお、回転方向や内側、外側の指定がないタイヤもあります。その場合は左右対称のタイヤなので、左右の区別はありません。
タイヤ交換を自分でやる人の割合はどれくらいですか?
タイヤ交換を自分で行う人の割合は、それほど多くありません。
近年ではタイヤの持ち込み交換や直送に対応している店舗も増えているため、ECサイトなどで手頃な値段のタイヤを購入し、交換をプロに依頼するといったスタイルが増えている傾向にあります。
まとめ
タイヤ交換は自分で行う方もいますが、手間や時間がかかることに加え、怪我などのリスクもあります。
普段から車のメンテナンスを自分でしない方にとっては、ハードルが高いかもしれません。
また、タイヤは車の全重量を支え、進行方向を決めたり路面に制動力を伝えたりする重要部品です。
少しのミスが脱輪などの重大事故につながりかねませんので、不安があればプロに任せることか安心です。
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