タイヤ交換は自分で行うことも可能ですが、難易度の高い作業です。
セルフタイヤ交換が難しい理由のひとつに、「トルク管理」が挙げられます。
そこで今回は、タイヤ交換におけるトルクの重要性と正しい管理方法、安全にタイヤを交換するためにおすすめの方法などを解説いたします。
セルフタイヤ交換をお考えの方は、ぜひトルクの知識も身につけたうえで、自分で行うかどうか検討してみてください。
タイヤ交換で重要な「トルク」とは?

タイヤ交換における「トルク」とは、端的に述べるとホイールナットを締める力の強さを示すものです。
ナットを締めようとする力の強さと軸の中心から力点までの距離によって数値が変わり、「N・m」という単位で表記されます。
ナットはタイヤのホイールを固定するための部品ですが、ただ強く締めれば良いという訳ではありません。
メーカーが指定したトルクに沿って締めないと、部品に過剰な力がかかって破損するリスクが高まります。
その結果、走行中に重大な事故が発生しかねないため、走行の安全性を確保するにはタイヤ交換の際のトルク管理が重要とされています。
ホイールナットのトルクは、普通自動車なら90~100N・m、軽自動車なら70~90N・mが一般的です。
ただし、車種によって規定トルクが異なるため、事前に確認しておく必要があります。
規定トルク(締め付けトルク)の確認方法と正しい締め方

愛車の規定トルクを確認するなら、取扱説明書を読むか販売ディーラーに問い合わせましょう。
規定トルクを確認したら、まずは大まかにナットを締めていきます。
仕上げに、「トルクレンチ」を使って締め付けを調整します。
ナットの取付位置は、時計回りに上・右上・右・右下・左下・左上の5箇所にあります。
実際にナットを取り付けるときは、必ず以下の順番を守りましょう。

- 上
- 右下
- 左上
- 右上
- 左下
上記の順で軽くナットを締めてから、トルクレンチでトルクを調整します。
トルクを締め付ける工具「トルクレンチ」はいらない?手締めでも可能?

先述したトルクレンチは、あらかじめトルクをセットしておくと、セットした数値を超える強さでナットを締められなくなる工具です。
トルクレンチを使えば、ナットの締めすぎを予防できます。
なお、インターネット上にはトルクレンチを使わずにホイールナットを締める方法も掲載されています。
タイヤ交換作業に慣れており、適正な力加減を十分に理解できている人であればトルクレンチなしでもホイールナットを正しく締められる可能性はあります。
しかし、基本的にはトルクレンチを使用しなければ、メーカーの規定トルクを守って正確にトルクを締めることは困難です。
規定トルクを守らずにタイヤを取り付けると、後述するトラブルが起こりやすくなります。
万が一のトラブルが発生してからでは遅いため、セルフでタイヤを交換する際は必ずトルクレンチを用意しましょう。
規定トルクを守らない・トルクレンチを使わないことで起こる危険性

ホイールナットは規定トルクより緩すぎても締め付けすぎても、走行時の安全性に影響が及びます。
規定トルクよりもホイールナットの締め付けが足りないと、走行中にホイールナットが緩んで振動が増したり、脱輪したりする恐れがあります。
一方でホイールナットを規定トルクより締めすぎると、バルブボルトのネジ切れやホイール側の座面の損傷につながります。
脱輪による重大な事故や破損による高額な修理費用の発生といったリスクが生じるため、トルクレンチを使って規定トルクを守り、ホイールナットを締めることが大切です。
安全な走行をするためにもタイヤ交換はプロへの依頼が賢明

タイヤを自分で交換する場合、安全のために規定トルクを守る必要があるだけでなく、必要な工具を揃えるための時間や費用もかかります。
他にも、ジャッキアップにおける安全管理や各部品の取り付け順など、数多くの注意点に気を配りながら作業する必要があります。
作業の手間や失敗によるトラブルのリスクを考えると、タイヤ交換は専門知識を持つプロへ依頼する方が確実かつ安全です。
依頼に際して工賃はかかりますが、業者によっては4本でも数千円程度で済むこともあります。
工賃と引き換えに、タイヤ交換の失敗によるトラブルのリスクを避けられると考えれば、業者への依頼が賢明な判断といえます。
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タイヤ交換時のトルクに関するよくある質問

最後に、タイヤ交換時のトルクに関するよくある質問について解説いたします。
車のホイールの締め付け、トルクが足りないとどうなる?
規定トルクよりもホイールナットの締め付けが足りないと、最悪の場合脱輪する恐れがあります。
他にも、ホイールのがたつきで走行中に振動が発生しやすくなります。
タイヤの締め付けトルクの目安はどこに書いてある?
愛車の規定トルクは、取扱説明書に記載されています。
また、該当の車種メーカーの販売ディーラーに問い合わせて規定トルクを確認することも可能です。
まとめ
タイヤ交換において、安全性の確保という観点から規定トルクを守ることは非常に重要です。
規定トルクを守らないと、走行中の事故や部品の破損といったトラブルにつながります。
しかし、規定トルクを守りながらのタイヤ交換は難易度が高いため、知識や作業経験がない方は無理にセルフ交換を試みずにプロへ依頼しましょう。
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