タイヤのエアバルブは、定期的な交換が必要なパーツです。
タイヤの空気圧維持に大きくかかわるため、劣化した状態で使用し続けると適正空気圧が保てず、事故につながる可能性があります。
ここでは、タイヤのエアバルブの交換時期の目安や、劣化のサイン、交換費用などについて詳しく解説します。
タイヤのバルブとは?
タイヤのバルブとは、タイヤの空気を注入したり、空気圧を調整したりするための重要なパーツです。
エアバルブの役割
エアバルブはタイヤそのものではなく、ホイールのバルブホールに組み付けられているパーツです。
タイヤに空気を入れる際には、エアバルブから注入します。また、タイヤ内の空気圧を調整する役割や、タイヤ内のエアが抜けないようにする役割も担っています。
エアバルブの種類と構造
エアバルブは、ゴムバルブと金属バルブに分けられ、それぞれ特徴や構造が異なります。
ゴムバルブ
ゴムバルブは、多くの自動車メーカーが純正ホイールに採用している一般的なタイプで、ゴムならではの柔軟性と衝撃への強さ、コストの安さがメリットです。
スナップインバルブとも呼ばれ多くの車両で使用されていますが、ゴムという素材の特性上、紫外線や湿気、高温などによる経年劣化が避けられません。
劣化が進むとひび割れや硬化が発生し、エア漏れにつながる可能性があるため、金属バルブよりも交換頻度は高くなる傾向があります。
ゴムバルブは、以下の3つの部品によって構成されています。
- バルブ本体:ゴムで覆われた部分で、ホイールのバルブホールに密着してエア漏れを防ぎます。ゴム製であるため柔軟性があり、衝撃に強いのが特徴です。
- バルブコア:内部に設置された調整弁で、空気を注入したり抜いたりする際に開閉します。通常時はスプリングによって閉じた状態を保ち、エア漏れを防ぎます。
- バルブキャップ:外部から砂や水分が侵入するのを防ぐ役割を果たします。キャップがない場合、内部に異物が入り込むことでエア漏れや故障の原因になることがあります。
ゴムバルブは比較的シンプルな構造であるため、交換に専門的な工具が必要なく交換しやすい点も特筆ポイントです。
金属バルブ
クランプインバルブとも呼ばれる金属バルブは、高速走行を前提としたスポーツカーやデザイン性を重視する車両で採用されることが多いタイプです。耐久性や剛性に優れており、レースなど過酷な環境下でも安定した性能を発揮します。
また、見た目にも高級感があり、カスタマイズ性も高いことから高級車やカスタム用ホイールにも多く採用されています。金属なのでゴムバルブよりも耐久性は高いですが、振動で緩みやすく、衝撃にも弱いというデメリットがある点には注意しましょう。
金属部バルブの構造はゴムバルブと異なり、バルブコアとバルブ本体が一体化しています。また、ナット固定式なので、交換はゴムバルブよりも手間がかかります。
本体部分は半永久的に使用できるものの、ホイールとの接続部分に使用されるゴムパッキンは劣化しやすいため、定期的な点検と交換が必要です。
エアバルブの寿命はどのくらい?
エアバルブは、タイヤの空気圧を維持するために欠かせない重要な部品ですが、永久に使い続けられるわけではありません。
素材の劣化や、使用環境による影響を受けるため、定期的な交換が必要です。
ゴムバルブの寿命
ゴムバルブは、パーツのほとんどがゴム製であるため、紫外線や湿気、高温などの影響を受けやすく、経年劣化が避けられません。
使用から2~3年が経過すると、ゴム部分が硬化してひび割れが発生しやすくなり、エア漏れを引き起こす可能性があります。
また、車両が屋外で保管されている場合や、高温多湿な地域で使用される場合には劣化が早まる傾向があるため注意しましょう。
金属バルブの寿命
金属バルブ自体は耐久性が高く、長期間使用可能ですが、ホイールとの接続部分に使用されているゴムパッキンはゴムバルブと同様に劣化します。
このゴムパッキンも2~3年程度で硬化するため、定期的な点検と交換が必要です。
また、高速走行中の振動や衝撃によって金属疲労が起こる可能性もあるため、ゴムパッキン交換時に本体部分も点検することをおすすめします。
タイヤのバルブ交換の必要性
タイヤのエアバルブは、タイヤ同様定期的な交換が必要です。劣化したエアバルブを装着したままだと以下のような不具合や危険が発生する可能性があります。
燃費性能が低下する
バルブが劣化すると、タイヤ内のエアがだんだんと漏れてきます。タイヤの空気圧が下がった状態になるとタイヤがたわみ、接地面が拡大するので転がり抵抗が大きくなるのです。
そのため、車を動かすために余分なパワーが必要になり、エンジンに負担がかかるため燃費が悪化します。
バーストの危険がある
バーストは、ゆっくりとエアがタイヤから抜けていくパンクとは異なり、突然爆発するようにタイヤが破裂する現象です。
エアバルブの劣化によってエアが抜け、空気圧が下がったタイヤで高速走行をすると、タイヤが波打ったような状態になる「スタンディングウェーブ現象」を起こすことがあります。
スタンディングウェーブ現象が起こった状態で走行を続けるとバーストする可能性があり、非常に危険です。
バーストするとハンドルがとられ一時的に車が制御できなくなり、重大な事故につながるおそれがあります。
走行性能が低下する
エアバルブの劣化によってタイヤの空気が漏れると、タイヤは空気圧が下がり適正空気圧を維持できません。空気圧が下がったタイヤでは、その車の持つ本来のポテンシャルを発揮できず走行性能が低下します。
アクセルの踏み込みに対する反応が鈍くなる、コーナリング時のラインがぶれる、転がり抵抗が大きくなることでステアリングが重い、思ったとおりに操作できないなど弊害が生じる可能性があります。
タイヤのエアバルブ交換のタイミング
では、タイヤのエアバルブはどのタイミングで交換するべきなのでしょうか。
タイヤ交換と合わせての交換がおすすめ
エアバルブを交換するには、タイヤをホイールから外さなければならず、タイヤ交換の工程が必要です。そのため、タイヤ交換のタイミングで一緒に行うことをおすすめします。
基本的に業者にタイヤ交換を依頼すればバルブ交換についての確認があることがほとんどですが、必ずしも業者側から確認してくれるわけではありませんので、注意が必要です。
エアバルブの交換が必要か確認する方法
エアバルブから空気が漏れているかどうかは、石鹸水を使って簡単に確認できます。
食器用洗剤などの中性洗剤を水で薄めて石鹸水を作り、スプレーボトルに入れてエアバルブ周辺に吹きかけてください。
スプレーボトルがなければ、スポンジや布に石鹸水を含ませてバルブ周辺に塗布しましょう。エア漏れが発生している場合には、漏れのある場所の石鹸水が泡立ちます。
泡がまったく発生しない場合には、エアバルブからのエア漏れはありません。
エアバルブの交換を依頼できる場所
エアバルブの交換はディーラーをはじめ、街中の整備工場やタイヤ専門店、カー用品店、ガソリンスタンドなどに依頼できます。
ディーラーは基本的に純正品を使用して交換しますがその分費用が高い傾向があります。
また、整備工場ではディーラーほどの手厚いサービスはないものの費用が抑えられるほか、予算に合わせて汎用品の使用などにも柔軟に対応してくれる、など業者によって特徴や費用相場に違いがあることを理解しておきましょう。
タイヤ専門店やカー用品店では、ディーラーよりも交換費用が安いことが多く、店頭で豊富な種類のエアバルブから予算や用途に合ったものを選べるのが特徴です。
エアバルブ交換費用の相場
エアバルブそのものの交換の工賃は、1本なら300円前後~1,000円程度、4本になると1,200円程度~4,000円程度です。
ただし、エアバルブ交換をする際にはタイヤ交換(組み換え)と同じ工程が必要です。そのため、タイヤの組み換えの工賃もプラスされます。
タイヤ組み換えの工賃はタイヤのサイズや種類、業者によっても異なりますので、事前に確認しておきましょう。
エアバルブの交換は自分でできる?
エアバルブの交換はセルフでも可能ではありますが、多くの工具が必要です。
またジャッキアップしなければならず、危険も伴うのでセルフで交換する場合は細心の注意を払いましょう。
自分でエアバルブ交換する際に必要な工具
タイヤのバルブ交換を行うには、専用の工具がいくつか必要です。
例えば、車を持ち上げるジャッキや車を固定する輪留め、タイヤをホイールから外すタイヤレバーなどが挙げられます。
また、ナットを締めたり緩めたりするレンチや、バルブコアを外すムシ外しも欠かせません。
これらの工具に加え、他にも必要なものがあり、すべてを揃えるには安くても5万円程度の費用がかかるのが一般的です。
自分でエアバルブ交換する場合の手順
セルフでバルブ交換を行う際の大まかな手順は、以下のとおりです。
このほかにもジャッキアップやナットの締め付けの工程もあり、タイヤ4本分をすべて交換するとなると、慣れていても半日程度は見ておく必要があります。
タイヤを外さずにエアバルブ交換は可能?
原則として、エアバルブ交換はタイヤを車から外さないとできません。また、タイヤそのものもホイールから外す必要があります。
バルブ交換をするだけとしてもタイヤ交換の工賃が発生するので、タイヤ交換のタイミングで一緒にバルブ交換しないとかなりコストがかさむことになります。
エアバルブ交換時の注意点
自分での交換は可能だが難易度は高い
自分でエアバルブの交換をするのは、車の修理やメンテナンスに慣れた方であれば可能ではあります。
しかし、ジャッキアップを伴う作業であり、確実にジャッキアップできていなければ大きな事故につながったり、タイヤを正しく装着できていなければ走行中にタイヤが外れたりするなどの危険もあります。
かなり難易度の高い作業になるため、基本的には自分でバルブ交換はできないと考えるべきといえるでしょう。
アルミ製のバルブキャップは腐食し固着することも
バルブキャップは、ゴム製のものがおすすめです。アルミ製のものもありますが、アルミ製のものは腐食し固着してしまう可能性があるため、注意が必要です。
キャップがバルブに固着してしまうと外れなくなり、エアの充填などタイヤの空気圧調整ができなくなります。
そのほか、タイヤ交換の際にもエアが抜けずに作業が困難になるケースもあります。後々のメンテナンス性のことを考えると、特段の理由がない限りは、ゴム製のバルブキャップを使用するといいでしょう。
エアバルブ交換と合わせてチェックしておきたい3つのこと
タイヤは走行性能や燃費、さらに安全にも関わる重要なパーツであるため、エアバルブの点検をする際には一緒に他の項目も確認しておくことをおすすめします。
タイヤの残り溝の深さと偏摩耗の有無
タイヤの摩耗状態はまずチェックしたいポイントといえます。グリップ性能を左右する残り溝の深さは必ず見ておきましょう。
ノーマルタイヤの場合、新品の状態の溝の深さは8mm前後です。残り溝が1.6mmになりスリップサインが露出すると車検に通らなくなるので、早急に交換してください。
可能であれば、タイヤの性能が下がる前の4mm前後での交換が理想です。
また、タイヤの空気圧が低い状態で走行を続けていると、タイヤの一部に摩耗が偏る「偏摩耗」が起こる場合があります。
偏摩耗がある状態で走行を続けるとタイヤの寿命を縮める可能性があるので、偏摩耗があればタイヤローテーションを検討しましょう。
サイドウォールのひび割れや損傷
サイドウォールも併せて確認しておきましょう。サイドウォールに大きな傷やひび割れがあるとタイヤ内部が損傷しており、最悪の場合バーストする可能性があります。
ホイールのへこみや歪みも要注意です。異常があれば、早めに業者に点検や交換を依頼しましょう。
空気圧のチェック
タイヤの空気圧が低下すると、バーストの危険性が高まる、走行性能が落ちるなどさまざまなリスクが生じます。
タイヤにはそれぞれ適正空気圧があります。適正空気圧は、運転席ドアを開けたところや給油口などに貼ってある空気圧表示シールに記載されているので、確認しておきましょう。
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タイヤのエアバルブ交換に関するよくある質問
最後にタイヤのエアバルブの交換について、よくある質問と回答をまとめました。
タイヤのバルブを交換しないとどうなりますか?
タイヤのバルブが劣化すると、エア漏れが起こります。
劣化したまま交換しないでいると、タイヤのエアが抜けて走行性能が落ちる、燃費が悪化する、バーストしやすくなるなどのリスクがあります。
ディーラーでのバルブ交換の工賃はいくらですか?
ディーラーは業者の中でも工賃が高い傾向があり、バルブ交換であれば1本400円~1,000円程度かかります。
ただし、バルブ交換はタイヤの組み換えと同じ工程が必要なので、バルブ交換だけをするとしてもタイヤの組み換え工賃がかかります。
タイヤの空気が抜けるとどうなりますか?
タイヤの空気が抜けるとタイヤがたわみ、高速走行時にバーストするリスクが高まります。また、走行性能が低下する、燃費が悪化するなどの現象が起こります。
タイヤの空気が完全に抜けてしまった状態では、走行できません。
タイヤにバルブキャップがないとどうなりますか?
バルブキャップがないと内部に水や異物などが入り、腐食させることによってエア漏れが起こることがあります。
まとめ
タイヤ交換は定期的に行う必要があることは認知されていると思いますが、タイヤと合わせてバルブ交換が必要であることは知らないという方もいると思います。
バルブが劣化してしまうと、燃費性能や走行性能の低下、バーストの危険性があるため、定期的な交換は必要不可欠です。
ENEOSウイングでは、全国300以上の店舗を展開しており、バルブ交換を含めたタイヤ交換サービスを提供しております。
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