タイヤ交換時に行われる作業のひとつ、「ホイールバランス調整」はご存知でしょうか。
ホイールバランス調整は安全な走行のために欠かせないメンテナンスであるため、その必要性について今一度理解を深めることが大切です。
そこで今回は、ホイールバランス調整とは何か?なぜ必要なのか?といった基礎知識に加え、作業料金の相場や調整するべきタイミングなども解説いたします。
ホイールバランス調整とは
ホイールバランス調整とは、タイヤの重心位置を中心となるまで調整する作業のことです。
具体的には、まずホイールに組んだ状態のタイヤに空気を充填して質量の釣り合いを測定します。
その際、全体にかかる質量のバランスに偏りがあれば「バランスウェイト」という重りを貼り付けるなどして、質量の調整をするというのが基本的な流れです。
なお、ホイールバランスの測定や調整は高度な機器を要するため一般の方が容易に実践することはできません。
ホイールバランス調整の必要性
ホイールバランス調整は、定期的なタイヤ交換と同等に欠かせない足回りのメンテナンスです。
なぜホイールバランス調整が必要なのか、以下より詳しく解説いたします。
ホイールバランス調整をしないとどうなるのか?
ホイールバランス調整を怠ることで、以下のようなデメリットが生じます。
振動やハンドルがブレる
ホイールバランスに偏りがあると、タイヤが均一に回転しなくなります。
これにより、走行中に車体が振動しやすくなったりハンドルを取られやすくなったりします。
結果として車体の揺れで走行中に気分が悪くなる、運転操作の安定性が落ちて交通事故のリスクが高まるというデメリットが生じるのです。
タイヤの偏摩耗が起きる
偏摩耗とは、タイヤが均等に路面と接していないことで一部だけ摩耗が進むトラブルのことです。
ホイールバランスが偏っていると、タイヤに偏摩耗が起こりやすくなります。
偏摩耗は深刻化するほどタイヤの交換時期を早めるうえに、タイヤが破裂する「バースト」という現象が起こる可能性が高くなり非常に危険です。
足回りパーツの損傷
ホイールバランスが偏ったまま走行を続けると、さらに重心の偏りが悪化して走行中の振動も大きくなります。
これにより、サスペンションやハブベアリングなど足回りのパーツが劣化しやすくなり、異音や走行性能の低下といったトラブルが生じます。
足回りパーツの修理や交換は、劣化の度合いが深刻なほど高額になりやすいため費用面においても大きなデメリットを被ります。
タイヤの寿命が短くなる
タイヤの一般的な寿命は年数にして4~5年、走行距離にして30,000~50,000kmと言われています。
しかしホイールバランスが偏ったまま走行を続ければ、先述した偏摩耗の進行が速まるため一般的な寿命よりも早いタイミングでの交換が必要です。
頻繁に交換を行えばそれだけ手間と費用がかかり、正常なタイヤで走行を続ける場合よりも損をします。
燃費が悪くなる
ホイールバランスを調整しないとタイヤが滑らかに回転せず、スムーズに走行することができません。
これにより、タイヤが路面に接する面積が拡大すると同時に空気抵抗も強くなり、燃費の悪化につながります。
ホイールバランスが狂う原因
ホイールバランスは、以下のようなケースで狂いが生じることが多いです。
バランスウェイトが剥がれている
一般的に、ホイールバランス調整の際はバランスウェイトが貼り付けられます。
重りの役割があるバランスウェイトは数グラム程度の重量しかありませんが、これを貼り付けないとホイールの重心が偏ってしまいます。
バランスウェイトは、ホイールの経年劣化などで剥がれることが多いです。
このトラブルが、タイヤ・ホイールの使用を続けるうちにホイールバランスが狂ってしまう主な原因として挙げられます。
ホイールの損傷やタイヤの摩耗
走行中に縁石へ乗り上げたとき、障害物・他車と接触したときの衝撃でホイールが変形する場合があります。
変形すると正常なホイールバランスに狂いが生じるため、測定と調整を行いましょう。
また、タイヤの偏摩耗は頻繁に急カーブをしたり空気圧調整を怠ったりしても起こります。
1度偏摩耗が起こると、ホイールバランスも徐々に狂っていくため注意が必要です。
ホイールバランス調整のタイミング
ホイールバランス調整は、ハンドルの振動や安定性の低下を感じたり、直進ができなかったりした際は速やかに実施するべきです。
しかし、目立ったトラブルがなくてもあるタイミングでホイールバランスの調整が行われることがあります。
一般的にはタイヤ交換時に実施する
タイヤやホイールを新品に交換したとき、交換作業と併せてホイールバランス調整も行われるケースが一般的です。
新品でも製造過程の関係からどうしても完璧な真円とすることはできないため、重心に偏りが生じています。
交換後、すぐに安定した状態での走行を可能とするために交換作業とホイールバランス調整が同時に行われます。
ただし、店舗によっては実施しないケースも
店舗によっては、タイヤの交換作業にホイールバランス調整を含んでおらず、別途依頼しなければ実施してもらえないこともあります。
業者に依頼する際は、交換作業の内容についてよく確認しておきましょう。
ホイールバランスの状態を確認する方法
ホイールバランスの状態は、「ホイールバランサー」という機器を使います。
4本のタイヤをセットするとタイヤが回転し、その回転でバランスの状態を確認することができます。
ホイールバランサーは業者でなければ入手が難しいため、正確なセルフチェックは困難です。
ただし、以下の症状が現れた際はホイールバランスの調整を検討するべき状態になっていると考えて良いでしょう。
- 走行時にハンドルのブレがある
- 走行時にガタつきを感じる
- タイヤに偏摩耗がある
ホイールバランス調整の方法・流れ
ホイールバランス調整の基本的な流れは、以下の通りです。
なお、ホイールバランサーを用いた調整項目とその内容は以下の通りです。
調整項目 | 内容 |
---|---|
ウェイトマッチング | ホイールの外周部にウェイトを取り付けてバランスを調整する、最も一般的な調整手段。 |
ラジアルマッチング/ラテラルマッチング | 縦方向(ラジアル)と横方向(ラテラル)のバランスの狂いを判別して調整する。 |
フォースマッチング | ホイール単体のバランスを測定し、タイヤの最適な組付け位置を調整する。これにより、走行時に路面から受ける力を均一化させる。 |
ホイールバランス調整はどこで依頼できる?
ホイールバランス調整は、ホイールバランサーなどの設備が整った業者で依頼が可能です。
依頼できる業者の種類としては以下の4つが挙げられます。
- ディーラー
- タイヤ専門店
- カー用品店
- ガソリンスタンド
どの業者へ依頼するにしても、車を直接持ち込んで作業してもらう必要があります。
ホイールバランス調整の料金相場
ホイールバランス調整だけを依頼する場合、料金は1本あたり500~1,000円程度が相場です。
ただし、ホイールバランス調整は店舗によって独立したメニューとなっていることもあれば、タイヤ交換における作業の1つとして扱われていることもあります。
後者の場合はタイヤ交換作業の工賃も加わるため、料金が高くなる点に注意が必要です。
各業者のタイヤ交換作業の料金相場は、以下の通りとなっています。
業者 | 料金(1本あたり) |
---|---|
ディーラー | 2,000~4,000円程度 |
タイヤ専門店 | 2,000~4,000円程度 |
カー用品店 | 1,000~3,000円程度 |
ガソリンスタンド | 1,000~3,000円程度 |
なお、具体的な料金は車種やタイヤのサイズによっても変わります。
持ち込みでタイヤ交換を依頼した際は割高になることも
タイヤ交換とバランス調整を同時に依頼する場合に決めるべきポイントが、「タイヤを店舗で購入するか自分で持ち込むか」です。
交換業者が販売しているタイヤは比較的高価な主要メーカーの製品がほとんどであるため、交換費用を抑えるには自分でリーズナブルなタイヤを購入して持ち込むという手段もあります。
しかし、店舗購入のタイヤよりも持ち込みタイヤへの交換料金を割高に設定している業者は多いです。
できるだけ交換費用を抑えたい場合は、あらかじめ業者に交換料金の違いについて確認しておきましょう。
ホイールバランス調整の作業時間
業者にもよりますが、多くの場合ホイールバランス調整は1本あたり10分程度で完了します。
4本ともバランス調整を行うとなれば40分前後の時間を要するため、ある程度時間に余裕のあるタイミングで依頼しましょう。
待ち時間を発生させたくない場合は、事前に電話やWebなどで予約しておくこともおすすめです。
ホイールバランス調整は自分でもできるのか?
ここまで、ホイールバランス調整について業者へ依頼することを前提に解説しました。
しかしホイールバランス調整について知る中で、「自分で調整すれば費用が抑えられそう」「そもそも自分で調整はできるのか」などの考えが浮かんだ方もいることでしょう。
自分でホイールバランス調整をすることは可能
結論から述べると、一般の方でも自分でホイールバランスを調整することは可能です。
ホイールバランス調整に必要なホイールバランサーや工具は市販されているため、各種揃えて正しい手順を踏めば業者でなくとも作業を実施できます。
とはいえ、業者ではない方が無理に自分でホイールバランスを調整することは様々なリスクを伴うため、おすすめはできません。
自分で調整することは可能だが精度は良くない
業者で用いられる本格的なホイールバランサーは、本体価格と設置費用を併せて数十万円もの費用がかかります。
そのため、一般の方が個人的に購入することは現実的ではありません。
1万円程度で市販されているホイールバランサーもありますが、調整できるのは縦方向のバランスのみで高精度なバランス調整はできません。
つまり、自分でバランス調整をしたところで走行の安定性・安全性は保障されないことは留意しておきましょう。
自分でホイールバランス調整をしても改善されないことも多い
上記とつながるポイントですが、一般の方でも扱えるバランサーでは正確な測定や調整が難しくなります。
そのため、自分で調整を済ませても問題点が解消されず、結果的にバランスが狂ったまま走行を続けることになりかねません。
確実にバランスを調整のうえ走行を改善させたいなら、最初から業者へ依頼した方が安心です。
高度な修正は難しいことも
ホイールバランス調整は、バランサーで測定したときにすべてのホイールが「0」の数値となるまで行う必要があります。
それには専門的な知識と正確な作業を行うための技術力が欠かせません。
高度な修正は難易度が高いうえに、知識や技術がないとバランス以外のトラブルが発覚しても対処することができません。
手間がかかることも考えると、自分で行うよりも業者へ依頼した方が賢明と言えます。
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もちろん、お見積もりやご相談は無料です。大切な車のタイヤについてお悩みや疑問点などありましたらお気軽にお近くの店舗スタッフへお声がけください。
お電話またはWebにて、事前のご予約も承っております。
ホイールバランス調整に関するよくある質問
最後に、ホイールバランス調整に関してよくある質問を回答と一緒にまとめました。
ホイールバランスとアライメントの違いは何ですか?
ホイールバランスはホイールにかかっている重心位置、アライメントは地面に設置しているタイヤの整列具合を指します。
タイヤ関連のサービスを取り扱っている業者では、「アライメント調整」というメニューもあります。
これを依頼することで、ホイールの位置・角度・方向の現状を確認のうえ正しい状態となるよう調整してもらえます。
バランスウェイトが取れた場合どうすればいいですか?
バランスウェイトが取れてしまったら、業者に相談のうえホイールバランス調整をしてもらいましょう。
また、日頃からホイールに大きな衝撃を与えないような運転を心がけたり、簡単には外れない「打ち付けタイプ」のバランスウェイトを取り付けたりといった工夫も大切です。
タイヤのホイールバランスが狂うとどんな音がしますか?
タイヤのホイールバランスが狂っていると、高速走行の際に「ブー」「ゴー」など唸るような音がします。
なお、聞こえ方は違っても足回りから異音がする場合は何らかのトラブルが発生している可能性が高いため、速やかに業者へ相談をしましょう。
ホイールバランス調整のみお願いすることは可能ですか?
店舗によっては、ホイールバランス調整のみ対応している場合もあります。
タイヤ交換が不要な場合はあらかじめ対応メニューを確認し、ホイールバランス調整とタイヤ交換が分けられている店舗を選びましょう。
ホイールバランス調整が不必要な車種はありますか?
車種によってホイールバランス調整の必要性が変わることはありません。
ホイールバランスはどんな車種・タイヤでも偏りが生じるため、定期的なバランス測定と調整が必要です。
バランス調整を怠ると、最悪の場合事故につながるトラブルが発生します。
まとめ
ホイールバランス調整とは、タイヤの重心位置を測定のうえ必要に応じて調整する作業のことです。
一般的にはタイヤ交換と同時に行われますが、ホイールバランス調整のみ依頼できる業者もあります。
料金はバランス調整作業だけなら1本あたり500~1,000円程度ですが、タイヤ交換と併せて行う場合はさらに費用が必要となるため注意が必要です。
迅速かつ安心、低価格でホイールバランス調整やタイヤ交換が依頼できる業者をお探しの方は、ENEOSウイングにお任せください。
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